平成26年度総会はお陰様で盛会裡に終了いたしました。準備を担当した役員の皆様をはじめご協力いただいた会員各位に心から感謝申し上げます。また会報は今回で50号の節目を迎えたわけですが、創刊に尽力された初代矢沢会報委員長、阿部事務局長はもとより、歴代の会報委員会および会員の皆様の多大なるご支援により刊行されて参りました。あらためて厚く御礼を申し上げる次第でございます。50号発刊にあたり日頃考えている事を述べさせていただきます。
 「敷島の大和心と人問はば、朝日に匂う山桜花」と本居宣長が詠っておりますが、この和歌の大和心=大和魂の解釈は戦時中謬って解釈され、パッと咲きパッと散る桜のようにいさぎよく国家に身を捧げる国粋主義の精神ように言われて参りました。しかし宣長の詠んだ大和心とはそんなものではなく、まさしく「日本の心」であり朝日に染まって美しく映える桜のようなものと詠んだのであります。d0321668_10561618
 谷崎潤一郎の細雪のなかで中姉幸子が好きな魚はと聞かれ、「日本的な魚である鯛」と答え、「同様に日本的な花は桜であり古今集の昔より何百首何千首となくある桜の花に関する歌を無感動に読みとおしてきたが、年をとるにつれて、昔の人の花を待ち花を惜しむ心が決してただの言葉の上の「風流がり」ではないことがわが身に沁みて分かるようになった」というくだりがありますが、大和心とは幸子が感じたような平和な日本的な情緒であると感じます。
 さらに一歩進めて大和心とは大正時代に来日したアインシュタインが絶賛した日本人像(うわべだけではなく、すべての物事にたいして物静かで、控えめで、知的で、芸術好きで、思いやりがあって、非常に感じが良い人達)の心持のことであり、礼儀正しく、誠を貫き通す会津の誇るべき精神でもあると確信しています。
 また、大和心は教育の基本精神であり、日本のみならず世界にも誇れる心でありましょう。複数の外国の元首が執務室に日本精神を掲げていると聞いております。大和心と言う言葉がはじめて使われたのは平安朝時代ということですが、学問・知識に対してそれを生かす人間力という使われ方をし、大和心は日本人の生活上の心構え(知恵)、生きた常識とも言えるのではないかと考えられます。その大和心が最近日本人に希薄になってきたふしがあります。
 そこで大和心をしっかりと自分のなかに根付かせるにはどうすればよいか、私見を申し述べます。心を醸成するには先ず形から入るが早道と考えます。
 第一に、親孝行の実践でございます。自分の命の根元は両親であります。親を大切にし日夜孝養を尽くすのは当たり前であり、親を大切にしないような子は何一つ満足にできない。
 第二に、仕事に喜びをもつことです。スイスの哲学者ヒルティ―もフランスのアランもその幸福論で仕事に喜びを持つ事が幸福の源泉であると云っています。
 第三に、さわやかな挨拶の励行であります。挨拶人間に不幸なしといわれます。
 第四に、「ハイ!」という明るい返事の実践であります。
 第五に、約束の厳守であります。約束を違えれば、己の幸を捨て人の福を奪うと申します。
 第六に、感謝の心です。おかげさまで、ありがとうの心で毎日を過ごしたいものです。
 母校は会津の誇るべき学府として存在しておりますが、当同窓会も価値ある同窓会として、この大和心を軸に、会員の皆様に入って本当に良かったと思われる在京会津高校同窓会を目指して事業展開を図るつもりでございます。
 現在、どこの同窓会も若い世代の方々が不足していると聞いておりますが、当同窓会は同窓会活性化の為の戦略の一つとして若年層の積極的参加を呼び掛けています。大和心の深い人生経験豊かな旧き世代の方々との交流により、多くを学びとって欲しいし、年配者の方々も若き世代からエネルギーを吸収して欲しい。本同窓会の活性化に向けて会員相互の親睦と母校発展のために今後とも皆様のご協力を切にお願いするものでございます。